私たちが目指すもの

本事業の背景

戦前から変わらぬ避難所生活

災害救助・被害者支援について各セクターの基本的な役割分担は、1947年の災害救助法によって規定され、制定当初から大きく変わっていません。
例えば、北伊豆地震(1930年)と熊本地震(2016年)の写真を見比べると、設備の整わない避難所で、多数の被災者が共同生活を余儀なくされる状況が、戦前から現代まで変化していないことがわかります。最低限の生活環境が整わず、プライバシーすら守られない日本の避難所の現状は、世界的にみても極めて低水準です。

1930年 北伊豆地震避難所(毎日新聞社提供)

2016年 熊本地震避難所

取り残される被災者

また、現在は、たまたま住んでいた家の壊れ具合いである罹災証明書の区分(全壊・半壊など)によって多くの被災者支援が規定され、在宅被災者、被災困窮者などとして取り残されてしまう被災者が多くいます。さらに、災害救助・被災者支援の仕組みは多分に行政中心主義が強く、介護保険法や障害者総合支援法など、措置から契約へと言われる社会保障の変化にもマッチしていません。
結果、災害が起きるたびに再建できない人がいる為、一人一人に寄り添うような支援が模索され、制度をかえる必要性が各現場から求められるに至っています。

災害救助法を中心とした現行制度下では、被災者支援は地方自治体が中心に実施することになっています。しかし、社会的課題として災害を考えた時、ある地域にたまにしかこない事が特徴である為、個別の地方自治体には災害救助・被災者支援の専門性が蓄積されません。

その為、上記のように戦後からずっと被災者支援の状況が低水準にとどまっていると考えられます。

現代に合わせた被災者支援

1995年の阪神・淡路大震災の経験から、1998年に被災者生活再建支援法、特定非営利活動促進法が制定されました。
ところが、東日本大震災では多くの学びがあったにもかかわらず、大きな制度制定や改訂が行われていません。経済の停滞や少子高齢化など近年の社会変化は大きく、この変化に、当然、現在の制度は対応できていません。
現在の経済の停滞や少子高齢化や今後の社会変化から、将来の大規模災害を見据えると、常に混乱する災害救助・被災者支援の制度変更を検討する必要があります。

当事業の必要性

そのためには、災害救助法を中心に、災害救助・被災者支援における基本的な役割分担を変更し、災害救助・被災者支援の専門性・ノウハウがある企業やNPOが公的に役割を担いうる仕組みに改める必要があります。なぜなら、ある地域に、たまにしか起きない災害に対して、専門性がなく、対応が不得手な地方自治体が災害救助・被災者支援を担っているため、現状は「素人が行う」に等しく効率が悪いためです。
行政が調整しながら、様々な主体と協働して災害対応にあたることで、災害救助・被災者支援の効果が高まり、スピードも速くなり、全体効率が上がります。一般的には制度変更を行うと社会全体のコストが増加すると思われがちですが、目指すべき災害救助・被災者支援の制度変更によって、かえって社会全体のコストが減ると考えています。
さまざまなセクターが得意技を出し合い、協働して災害救助・被災者支援を行える社会を実現する為に、この事業が必要と考えています。

私たちが目指している災害救助・被災者支援の在り方

「災害対応のマルチセクター化」と「社会保障化のフェーズフリー化」を目的とした法改正を目指します。

災害対応のマルチセクター化

災害救助法を改正することにより、現状、地方自治体のみで実施することが求められる災害救助・被災者支援を、行政と調整のうえで民間企業やNPOなども自律的に実施することで、より効果的・効率的な災害対応が可能となる。

社会保障のフェーズフリー化

「フェーズフリー」とは身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立てることができるように設計しておくという考え方。災害救助法を改正するとともに、平時の社会保障制度を拡充して災害救助・被災者支援を行うことで、被災者一人ひとりに合った生活再建を支援する「災害ケースマネジメント」を災害後すぐにを行うなど、被災者の生活再建を確実なものとすることができる。

災害救助支援に関わる課題の一例

被災の判定基準は「たまたま住んでいた家の壊れ具合い(り災証明の区分)」だけで良い?

  • 職場の被災
  • 家族の死亡
  • 生活困窮等

→支援の形は人によって多岐に渡るはずでは?

80年以上も変わらない避難所のあり方

  • 設置や運営を上手なところへ!

現物支給では実態に合った住宅を確保しにくい

  • 現金給付により多様な暮らしを実現し行政の仕事を減らす

災害救助・被災者支援制度の他の課題

応急修理

制度を使用したあとはどうなっているかを把握しているか?▶その後支援のレールから外れてしまう。

基礎支援金

1人でも10人でも一緒で良いか?
▶それでは大家族の再建はむずかしくなってしまう。

加算支援金

その再建方法は自分の生活に合っているか?▶生活実態に合わない再建をしてしまうと、その後苦しむことになる。