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公益財団法人共生地域創造財団 多々良言水事務局長 インタビュー

公益財団法人共生地域創造財団 多々良言水事務局長へのインタビューは2020年6月23日に実施しました。共生地域創造財団は、災害被害者支援、生活困窮者支援といった直接支援、また、助成支援といった中間支援を行う、東日本大震災をきっかけに設立された団体です。現在、(宮城県)石巻市、(岩手県)大槌町、大船渡市、陸前高田市の4事業所を拠点として活動しています。

今回のインタビューでは、東日本大震災後の活動と活動上感じた課題などについてお話をうかがいました。今回の記事では多々良さんからお話しいただいた内容を抜粋してご紹介します。

○団体の活動について
2011年3月の発災後に宮城県を皮切りに、岩手県では4月頃から遠野市を拠点として被災地で、避難所等への物資支援を展開しました。他にも避難所でのカフェやサロンのコーディネートなどに取り組みました。

パーソナルサポートは大船渡市から開始しました。物資配布を避難所だけでなく、在宅避難者へも行うようになり、津波到達ラインを一軒一軒(全571世帯、うち支援を必要としていたのは190世帯)訪ねたことで自立再建支援が必要なことがわかり、2011年夏頃には在宅避難者への支援にシフトしました。数値目標は特に設定していませんでしたが、自立支援として、支援を必要とされている方が、相談できる相手、「助けて」と言える相手ができたら自立したということとして、一人ひとりの暮らし向きが良くなることを目標に、一対一ではなく、たくさんの人を巻き込んで実施しました。

発災直後、地域外から支援に入っていた方たちから、「これから困窮する人が出てくる」、「最初に経済的困窮、社会的困窮が出てくる」、「孤独で死ぬ人がでてくる」と言われ、その方たちの困窮者支援のノウハウで被災者支援を行いました。

○活動で感じた課題など
現地で支援を進めるうえで、地元資源として民間の活動団体が豊富に存在し、連携できる状況にあると動き易くなります。ただ、地域によっては活動する団体がない地域もあるので、行政も含め、ないものをつくっていけるようなことが必要だと思います。自団体の強みを活かし、個人への支援を進め、地域に波及していくという方法で取り組みました。一方で地域を面的に支援していくという方向は得意としてはいなかったので、個人の伴走支援に留まっていました。自団体の支援対象となる人たちが実際に生活していく地域に対しての支援、自団体の不足を補える団体との連携があればもっと充実したサポートになったと思います。

行政からの委託事業の場合は、事業内容、対象地域、対象範囲、期間など、範囲が決まっています。しかし現場は被災・非被災が曖昧で、また、複合災害のため大変な人は時間の経過で拡大していきます。最初は拾いやすかった支援を必要としている人が、どんどん拾えなくなってしまい、対応も難しくなっていきました。行政の仕組み上、仕方のないことと思いますが、支援対象を絞らず、拡げた仕組みになると良いと感じました。

災害対応の場合、行政職員にとって不慣れな仕事をしているということも原因にあると思いますが、地域の課題の掘り起こしに手間取ってしまっているような印象を受けました。いつどこで起こるかわからない災害対応では、行政が不慣れな点を民間で行い、行政につなぐということで任せてもらえば、より多くの支援を必要とされている方が、支援へと結び付いた自治体もあるのではないでしょうか。自治体によっては初動の遅れから、被災者が見捨てられたと感じてしまったケースが相当数あり、現在も行政アレルギーを引きずっている方が多くいる状況も見受けられます。

以上、多々良氏のインタビューから一部引用しました。
多々良氏へのインタビューでは、東日本大震災被災地の現場での活動からみえた現状の被災者支援で感じている課題について、共有いただきました。災害対応のマルチセクター化、社会保障のフェーズフリー化の推進がもたらす、被災者支援活動現場での状況改善の可能性について、示唆をいただきました。

公益財団法人共生地域創造財団ホームページ
http://from-east.org/

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