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甲南大学共通教育センター特任准教授 岡村こず恵氏 インタビュー

岡村氏へのインタビューは202098日に実施しました。

岡村氏のご経歴1としまして、20003月に京都府立大学生活科学研究科住環境科学専攻にて修士課程を修了後、社会福祉法人大阪ボランティア協会の事務局次長、立命館大学、大阪産業大学、龍谷大学の非常勤講師を歴任し、現在は甲南大学共通教育センターにて特任准教授を務めております。
東日本大震災時は大阪ボランティア協会、および、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(通称:支援P)のスタッフとして主に気仙沼市でのボランティアセンター運営支援、様々な専門機関や支援団体行政等の連携支援被災地市民活動団体の活動支援等に取り組まれました。
インタビューでは、東日本大震災当時の岡村氏の活動や気仙沼市の様子、被災地で支援活動に携わる人材へのケアの必要性、災害救助法等の法制度で対応できない被災者への支援などの話題が上がりました。

今回はインタビューの中から、災害救助法や関連の法制度で対応できない被災者への支援の取り組みをマルチセクターで取り組む意義についてお話しいただいた内容を抜粋して紹介します。

私は東日本大震災発生から2年間、気仙沼市をはじめ宮城県を中心に災害支援の活動に取り組みました。気仙沼市での活動の一つとして行政とも連携しながら、近隣住民や地域の社会福祉協議会(以下、社協)、全国から応援に駆け付けた支援団体のみなさんとともに、住民同士交流やつながりづくりをサポートするコミュニティ支援取り組みました

発災後、半年
を過ぎた頃から、「あんなに快活だった人が、震災後は家の中に閉じこもりがちになった」といった住民のたびたび聞くようになりまそこで、住民同士の交流会を開催する際、気になる人への個別の声のかけ方を住民の皆さんと工夫したり、住民のみなさんの得意なことを生かしていただける企画づくりを意識しました地域の人々の居場所や社会的な役割づくり一緒に取り組むことを通して一人ひとりの生活の歩み応援するためです長らく気にかけていた男性企画をきっかけに家から出てこられた時は自治会他の支援団体みなさん静かに喜び合いました
それと同時に問題も痛感しました日本社会生活を再建するためセーフティネットが、あまりにも脆弱だということです特に、生活保護を利用する状況にはないが、生活再建が難しいへの支援制度やサービスが圧倒的に足りません。事例に挙げたような、自分の尊厳を守りながらその人らしく生きていくための生活支援やコミュニティ支援は、経済的支援だけでなく、人々の社会参加を生み出す社会的福祉的支援、より豊かに生きるための文化的支援、心身ともに健康に暮らす医療・保健支援など、幅広い担い手による多様な取り組みが求められます。これは行政や福祉関係者だけで担いきれるものでありません。これ災害時に限ったことではないですが、甚大な自然災害日本社会のこうした脆弱性明らかにしました

その後、
生活保護受給者以外の生活困窮者に対する支援の充実をめざして2015生活困窮者自立支援法が施行され地域福祉の取り組みは一定の成果が見られるようになりましたしかし、2016に発生した熊本地震では、避難後の心身不調で亡くなった「災害関連死」の人数は、災害による「直接死」の4といわれていますまた、2020の新型コロナウイルス感染症拡大では、特例貸付をはじめとした業務が、再び全国の社協に集中してしまいました生活再建の見込みが立たない人に貸付せざるを得ないという矛盾に、社協職員は大きなストレスと憤りを抱えています。災害支援危機管理という視点に立てば、疫病は災害のひとつととらえることができます発災後の生活支援やコミュニティ支援についての公的制度の位置づけやNPOや企業等の多様な担い手の育成支援いまだに不十分であることを感じます

また、これまで災害支援はどちらかと言えばまちづくりや住宅再建などハード面の復興への関心が高かったですが、人権や福祉の視点などソフト面の復興の必要性も徐々に認識されるようになってきました。しかし、まだ十分ではありません。支援のモレやヌケを防ぎ、連続的で包括的な支援を実現するためには、それぞれの分野の専門性が発揮されるだけでなく、隣接分野の基礎的知識の理解を進めることが求められます
そのためには、互いに学び合ったり、何らかの取り組みをともに実施したりすることが有効です。

実際に東日本大震災のときも民間企業社協やNPO等と一緒に活動したり交流を深めることで効果的な支援活動につながるだけでなく、福祉的な視点や互いの特徴知り合う有効な機会になっていました。
職種や立場を超えて社会課題や大切にされている視点共有できることがマルチセクターで取り組む意義のひとつだと思います。
 

以上、岡村氏のインタビューから一部引用しました。岡村氏のインタビューから、災害後の被災者への対策として被災者の孤立防止や自立支援などの福祉的な支援不足していること、その改善はまだ十分ではないとの指摘がありました。また、包括的な支援を実現するためには、行政や福祉関係者だけでなく、民間企業やNPOなど様々な分野の幅広い担い手と連携し人権擁護や福祉などソフト面の復興の必要性の理解、隣接する分野の関係者にも促すことが重要という示唆をいただきました。

 

*1:甲南大学教員・研究者紹介 岡村こず恵氏紹介ページ
https://researchers.adm.konan-u.ac.jp/html/100000801_ja.html

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