コラム『災害が起こった時、効果的な支援を行うためにどうすればよいか?』一般社団法人日本カーシェアリング協会 代表理事 吉澤武彦
「災害が起こった時、効果的な支援を行うためにどうすればよいか?」
この問いに対する答えを明快に答えられる方は意外と少ないと思われます。また、それぞれの立場によって回答の仕方も変わってくるでしょう。ただ、様々な現場での経験を通して私どもが一つの答えとして確信をもってお伝えできるのが「連携すればよい」ということです。
平成30年の西日本豪雨の際、たまたま岡山県知事が私どもの活動(寄付で集めた車の無料貸出支援)を知り担当部局へ連携を指示いただいたおかげで自治体・企業との連携をスムーズに行うことができました。その結果、過去の災害で対応していた平均貸出件数の10倍以上の支援を岡山県では行うことができました。そして、それ以降の災害においても同じように連携の枠組みを意識して取り組むことで比較的大きな規模の支援が可能となりました。
私たちの経験からも「自治体と民間セクターが連携することで被災者に提供できる支援が拡大する」ということはまぎれもない事実であると言えます。であるならば、災害時に連携を行いやすくすればよいのです。
そこで、私どもはその分かりやすい方法として都道府県と協定締結について話し合いを進めようとしました。すると、スムーズに話が進む自治体がある一方で躊躇する自治体も現れました。私どもにとっては意外な反応だったのですが、その理由として挙げられたのは「物資提供以外の災害協定の前例がない」「全ての被災者に平等に支援を提供できない」という2点でした。
前置きが長くなりましたが、今回の法改正の提案の本質的は「プロフェッショナルの活用と役割分担」であると理解しています。成果をもたらすための鉄則は「強みを活かす」ということであることはよく言われていますが、たくさんの被災者を救いたいと願うのであれば、それが促される社会構造にしていく必要があります。前述の自治体の反応は、自治体職員には責任はありません。全ては社会構造がそのようになっていないことが原因であることです。その社会構造の根幹を担うところが法律であると言えます。法的な根拠や指針に基づいて連携に対して積極的で柔軟な判断を各地域の自治体職員が行うことができるようになることが、支援を拡大させることに繋がります。自治体が積極的な態度を示せば民間セクター(特に大企業)はどんどん連携に参画するはずです。企業の社会的責任への関心は高まり続けているからです。早期の対応を願っております。
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