コラム

『日常の取組みが災害時の命と暮らしを守る』 別府市防災局防災危機管理課 村野淳子

東日本大震災が発生した10日後から福島県の支援に入りました。社協の職員にお願いして避難所を回ると、どこも人であふれ、環境は劣悪で寒く、食料も限られていました。県庁で行われた災害対策本部会議は原発事故対応が中心で被災者の話は出ません。災害から逃れた命が避難所で亡くなるのではという危機感を覚え、内閣府の参事官に避難所の調査をしたいとお願いしました。結果を国や県に提出し、避難所で命が失われないために、避難所を運営できる経験豊富なNPO等市民活動団体を入れるべきだと伝えました。その結果、被災経験をもとに人材を育成してきた地域の災害ボランティアネットワークの人たちが入り、避難所の環境は少しずつ改善されました。

私はこのときの経験と反省をもとに、別府市で在宅被災者の支援と障がい者等避難行動要支援者の対策に取り組みました。障がい当事者や地域の自治会の皆さん、福祉職等も参加、行政も防災・福祉等各課が連携しました。

私の経験から考えて、提案する会の提言はとても重要です。「民間の自律的な被災者支援」と「福祉」を「災害救助法に位置づける」こと、「社会保障関係法に被災者支援を位置づけ平時から人材育成を行う」ことは不可欠です。理由は①災害時にはNPOや事業者等経験豊かな専門家の力を生かすこと日常から災害対応の仕組みと人材育成を進めておくこと行政の縦割りの弊害を乗り越えることが必要だと考えるからです。

その実現とともに大切にしていただきたいことは地域づくりです。いざというときに助け合える関係は、当事者と地域住民と福祉専職等が出会い、地域づくりや人づくりを行なうことによってつくられると思います。個別避難計画の作成はそのための方法として有効です。これ以上の悲劇をつくり出さないために、力を合わせて取り組みましょう。

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